「おっと あぶない!」
とつぜんのことじゃった。どこからか、やつらが あらわれた。わしらを みるなり、おおきな くちで つぎつぎに のみこみはじめたのじゃ。
「おっと あぶない!」カエルさんの物語の始まり始まり・・・。
この物語は、代々カエルたちに言い伝えられた、カエルの進化のお話です。カエルがまだ、カエルではなかった頃から始まります。
昔のカエルさんたちは、いろんな危険な生き物に襲われていました。そこで、あるカエルさんが昔の話をしてくれました。
よいか、きみたち。いまからむかしむかしのはなしをするぞ。まだわしらがカエルではなかったころのはなしじゃ。
どうやっていまのすがたになったかというとな・・・。
海の中に住んでいましたが、海の中は危険がいっぱいでした。そこで、陸に逃げようとしたものが現れるのでした。カエルさんたちは、どんどん居場所を奪われていきます。
陸に逃げたカエルさんたちは、一安心と思いきや・・・。
だが、こんどは、もっと すばやい てきがおそってきた。どんなに ジャンプしても、かんたんに つかまった。また、おおくの なかまがくわれてしまった。「くわれて たまるか!」
ジャンプする力を手に入れても、次に現れたのは足の早い敵でした。
そこで、カエルさんたちは考えました。
わしらは とにかく はらが へっていた。たべるために ひっしだった。
たべものを さがすために、めを ひっぱりあげた。くちが おおきく あくように、さゆうに ひろげた。うごく えものを とらえるために、したを のばした。
わしらは たべた。どんどん たべた。それは それは おいしかった。
生き残るために、姿を変え、形を変えていきました。ここで、カエルさんたちの特徴的なフォルムが完成してきました。
だが、わしらも ねらわれていたのじゃ。きがつくと、 おおきな くちが せまっていた。「おっと あぶない!」
この絵本を読んでいると、カエルさんたちが人類が進化してきたような生き方を選択してきたんだなぁ~と思わせてくれる内容で感動しました。
実際に、両性類のカエルさんたちは環境に合わせて「姿・形」を変えてきたのだと思いますが。絵本を通して、理解できる描き方がとても良かったです。
そして、昔の話をしてくれていた。カエルさんが最後にこう言ってくれます。
よいか、わかい きみたち。ピンチが わしらを つよくしてくれるんじゃぞ。
このお話は、カエルさんたちを通して、ピンチを生かして強く生きていけることを教えてくれます。
つらい状況にある人や、内気な人などにぜひ、読んでほしい一冊です。みなさんも、ピンチをカエル(変える)気持ちを持ってみてはいかがでしょうか?
著者紹介
著 サトウ マサノリ
福島県相馬市生まれ、。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業。企業やテーマパークでキャラクター制作に携わる。担当は商品企画、デザイン、監修、4コマまんがの原案など。
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