電子書籍・紙媒体についてどう思いますか?
電子出版の噂として一番多いのは、ぜんぜん儲からないって話ですね(笑)。
面白そうだとは思うのですが、まだ文字だけを相手にしてる感じで、絵柄までは無理!って感じがします。まだまだ文字の本という印象が強いです。でもあっという間に変わってしまうかもしれません…。
レコードからCDになったときのように、ある日を境にガラって変わるかもしれません。ホント、どうなるかわからないですね。
人に伝わる絵の描き方や、意図・メッセージについて?
メッセージはないです。ボク自身がメッセージを嫌っています。だいたいボクごとぎがメッセージ言ってもね(笑)。というわけで、見た目が全てです。
レイアウトや書体を含めた絵柄(見た目)!が気に入ってもらえたら嬉しいです。
文字・イラストをレイアウトすることについて
レイアウトと書体。視覚に訴える商品にとっては、この2つは重要だ!とぼくは思っています(多くの絵本関係者は、そう思っていないようですが…)。
だからデザインのよくできた外国の絵本を、画集のつもりで買ったりもします。意味は全然わかんないんだけど(笑)
うん、ほとんどアマゾンで注文します。本屋とレコード屋へは行かなくなったなあ。Amazonのすごい所は、洋書の中古が買える所です。
それも送料250円で(国内の送料と同じ値段、無論新品なら送料無料)。シカゴやニューヨークの古書店から,何度も送ってもらってます(いままで間違いはなかったです,ボクは)。
意識していることは、持っていて楽しい本。所有する喜び!ってあるでしょ。子供の頃、もらって嬉しくて枕元に置いて寝た、なんて記憶があるでしょ。 そういう感じを目指したいです。大変難しいでしょうが、一応そういう感じを目指しています(笑)
ソニープラザってあるでしょ?今はただ「プラザ」って名前になったのかな。
例えば、あぁいうところ置いてあっても、違和感のない商品(絵本)を作りたいです。 そういうところと同じくらいのレベルでありたいと思っています。
絵が上達する方法について
おそらくたくさん絵を見て、たくさん描いて、そして自分の描いた絵が「良いか悪い」をたくさん考える。どれだけの時間を、絵に費やせるか、だと思う。
むろんそれだけ絵に時間を費やすと、他の楽しいこと(旅行へ行ったり、スポーツしたりなど)ができなくなります。それでも痛痒を感じない。それくらい絵が好きなら、自然とうまくなると思うけど。
天才なら、ちゃっちゃって苦労せず出来るんでしょうが、ボクのようなふつうの人間は,何かを犠牲するしかないんですね。むろん犠牲にしても苦にならない(犠牲とは思わない)。そのくらい絵が好き!描くのも見るのも!って。そうやってれば、なんとかなるんじゃないかな。
基本、どれだけ自分は(絵のことが)好きか!って自分自身に聞いててみればいいんじゃないかな。そこまで好きじゃない!他の楽しいこともしたい!って人は、他のコトした方がいいかもね。
もうひとつ、たくさん描くと、へんなエゴが消えていきます。個性的になりたい!とか自分らしい絵!とかいった、「未熟ゆえに持つ、つまらないエゴ」が薄くなっていきます。(恥ずかしながら私も昔(未熟な時)は、たくさん持っていた)。
うまくなるには、山のようにたくさん描くこと それが一番簡単だと思う。嫌になるほどやること。それだけ描いて嫌にならなかったら、それだけ好きだってことだから。
思い悩むより、身体(といっても手だけですが)を動かすのが一番だと思います。
マンガもお好きなんですか?
はい。誰のマンガっていうより、マンガのシステムが好きです。
コマ割りしてあってーフキダシがあってーという漫画のシステムーそれに乗っかって読んでいくと、まるで映画をみているように物語に入っていけるーそういうシステムが好きです。
すごいなあ!って思います。ホント、漫画家はスゴイ!って尊敬してます。マンガ好きが高じて、以前「ラップ・シティ(青木書店)」って大判マンガを出版したことがあります。
そういえばコミックモーニングにも、中とじのカラー8ページを2~3回やったことがあります。原画を(当時はまだ珍しかった)カラーコピーにとって、それを原稿にしてました。なんともいえない色合いになるんです。
絵本と同じように、日の目を見たのは少なくて、まだ出版されていないマンガがいくつかあります(笑)注文がある、ない、に関係なく、つい描いてしまうんですね(笑)そしてついプリントアウトして、本のように綴じてしまうんです(笑)
ボク達が若い頃はコンピューターもなく、そういったダミーを作るのには、お金と他人の手が必要でした。それにひきかえ、今は自分ひとりで(それも安価で)作れるのです。
それでつい作ってしまうのだと(笑)自分では思っています。
インタビューにお付き合い頂き、ありがとうございました。
絵本から漫画など幅広いお話を伺い、とても濃密な時間を過ごすことができました。
ありがとうございました。
■北田哲也さんの関連リンク
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→「なんでもいいからだっこして! 」 著:きただ てつや【感想・あらすじ】