かさの女王さま あらすじ
「ヌット」はとうとう、かさに絵つけするおゆるしをもらい、ことしの「かさの女王さま」に選ばれたいとひそかに願いながら、花やチョウを注意深く描きはじめました。
それは、おかあさんやおばあちゃんや、村の女の人たちが、長い間ずっと守ってきたものです。でもすぐに自分が本当に描きたいのは、家族の生活を支えてきた伝統的な絵柄ではないと気がつきました。
両親は伝統を守るようヌットに言い聞かせます。もうすぐ王さまがいらして、その年いちばんの絵を描いた「かさの女王さま」をお選びになります。王さまは、伝統を破るような者を、女王に選んで下さるでしょうか。
「ヌット」は村の女の人たちが、守ってきた花やチョウの絵を描きますが、本当に描きたいのは、伝統的な絵柄ではないことに気付きます。「ヌット」の本当の気持ちとは・・・。
ヌットの葛藤
両親から絵の才能を認めてもらい、仕事を任せてもらうのですが。
花とチョウの絵柄を描くことが決まりで、絵付けはあそびではなく仕事だということを、教わります。
「ヌット」は伝統を守らないといけない気持ちも分かっているのですが、自分の描きたい絵の気持ちもある。この二つの気持ちの葛藤が伝わってきます。
「伝統の絵」「自分の描きたい絵」伝統を守る大切さと自分の個性のバランスを学べる気がしました。
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気付けること、学べるポイント
素直な気持ちを表現することは、一人でも認めてくれる人がいるということ。自分に自信を持てない人や自分の才能を過小評価しがちな人におすすめです。
伝統やルールも大切だけど、好きな気持ちも大事なことなんだと気付いてみてはいかがでしょうか。
しくみが分かりやすく表現されている
傘の組み立てるシーンや紙をすくところ、傘の作り方が細かく描かれていて、とても分かりやすいです。そこで登場する人たちの服装や色などから、伝統や文化が理解できます。
著者紹介 中国系アメリカ人×韓国人作家
作 シリン・イム・ブリッジズ
カリフォルニア生まれの中国系アメリカ人。祖母をモデルとした、中国の少女を描いた最初の絵本、“Ruby’s Wish”(末邦訳)が2003年にエズラ・ジャック・キーツ賞を受賞。
絵 ユ・テウン
韓国生まれ。伝統的文化を愛する祖父母の家で育つ。ソウルの弘益(ホンイク)大学を卒業後、渡米。
ユ・テウンさんのサイトです。イラストも紹介されているので、見てみてください。
公式サイト taeeunyoo.com