美しいフランス菓子の教科書
本書は本国フランスをはじめ、ヨーロッパでベストセラーとなったフランス菓子のレシピブック。
第一章では、基本の生地やクリーム、デコレーションなど46の基本技法を解説。第二章では、この基本レシピを応用したベーシックな焼き菓子から、贅沢なホールケーキなど、様々なフランス菓子53種のつくり方を美しい写真とイラストで紹介します。
第三章では約20頁にわたり、材料説明や基礎的な技法説明も収録。フランス製菓レシピの決定版となる1冊です。
パート・ルヴェ・ア・ブリオッシュ(ブリオッシュ生地)
どんな生地? バター風味が豊かでのびがいい発酵生地。
発酵生地を手で押さえてガス抜きをするのはなぜ?
一次発酵後、イースト菌が糖と水分のある環境でさかんに活動し、生地は炭酸ガスで膨らんだ状態になっています。手で押さえてガス抜きを行うことで、イースト菌の周りの環境、生地中の配置が変わります。イースト菌は、新たに養分と接触し発酵と増殖を続けます。
過発酵になると、生地はどうなるの?
ブリオッシュ生地をオーブンに入れると、熱で炭酸ガスの泡が膨張し、生地をこねた時に取り込んだ気泡が膨らみ、水分が蒸気となって蒸発します。この3つの現象が気泡のガス量をさらに増やします。前段階で生地が過発酵していると、グルテン網がこの伸張に耐えることができず、ガスが生地から放出されます。このためブリオッシュがしぼんでしまうリスクがあります。
このレシピ本では、実験のような「発酵によって起こる化学変化」を細かく書いてくれています。ガス抜きや過発酵についての意味を知れて良かったです。
クレーム・パティシエール(カスタードクリーム)
どんなクリーム? 牛乳と卵黄を加熱して作る濃度のあるクリーム。ヴァニラで香りづけしたものが定番です。
パティシエの技 薄力粉やフランパウダーではなく、コーンスターチを使うと、より軽やかなクリームに仕上がります。お菓子作りに使用する前に、クリームを泡立て器でよく混ぜ、滑らかな状態にします。
卵黄とグラニュー糖を白っぽくなるまで泡立てるのはなぜ?
卵黄にグラニュー糖を加えて白っぽくなるまで泡立てると、テクスチャーがよくなります。また加熱時、砂糖がタンパク質を保護する役割を果たします。砂糖が卵黄のタンパク質とよく混ざり合っていると、ダマができにくくなります。
冷やすと、クリームの表面に「膜」ができるのはなぜ?
加熱時に生じたタンパク質の凝固(牛乳を温めた時にできるものと同じ)と、表面の乾燥が原因です。
テクスチャーとは
キメの細かさや組織構造のこと。食品用語では、口当たりや歯ごたえなどの「食感」を意味します。
筆者調べ
デコール・アン・シュクル(飴細工)
保存方法 カラメルは湿気を吸収しやすいので、すぐに使用します。
どんなデコレーション?
基本のカラメル(水入り)を固めたデコレーション。水なしのカラメル・ア・セックは、香りづけとして、お菓子の中身に使われます。
モカ
どんなケーキ? クリスピー生地の上に、スポンジ生地とコーヒーのバタークリームを交互に重ねたケーキです。アーモンドのカラメルがけで周りをコーティングします。
バタークリームとは、泡立てた卵白とバターで作ったクリームのこと。
このモカというケーキでは、「バタークリーム」を使っています。昔のケーキって「バタークリーム」を使っているイメージが強かったですよね。
バタークリームの種類って?
- パータボンブタイプ(卵黄と砂糖、水を加熱して作る・コクのあるタイプ。保形性に優れ、ツヤがある。)
- アングレーズソースタイプ(卵黄・砂糖・牛乳で作った口溶けが良いタイプ。保形性は低い。)
- イタリアンメレンゲタイプ(卵白と砂糖、水を加熱して作る・淡泊な味わいのタイプ。保形性に優れる。)
筆者調べ
タルトレット・シブースト・フランボワーズ
どんなケーキ? パート・サブレの台に、フランボワーズ・クリームとシブースト・クリームを組み合わせた小型のタルト。仕上げにフランボワーズの実を飾ります。
番号がふってあって、作り方の手順が見れるのがいいですね。この写真を見ているだけで、お腹がすいてきますね~。あぁ~食べたい!?
フィナンシェ
どんなお菓子? アーモンドパウダーをベースとした、柔らかい焼き菓子。
焼成前に、生地をしっかりと寝かせるのはなぜ?
冷蔵庫で寝かせると、生地の中のバターがしっかりと固まります。焼成する30分前に室温に戻しても生地がだれずふっくらと膨らみます。
フィナンシェは、フランス菓子だったのは知りませんでした。
フィナンシェの名前の由来
誕生したのは19世紀後半のパリ。フランス語で「金持ち・金融家」を意味する。フィナンシェの代表的な型(フィナンシェ型)が文字通り金塊に似ていることからその名前がついたそうです。※諸説あり
筆者調べ
絞り袋と口金&さまざまな絞り方
なんと、絞り袋と絞り方のやり方が紹介されています。こんなに絞り方があるのがビックリです!
絞り袋に詰める
口金を袋の先まで入れる。口金がぴったりとはまるように印をつけて、袋の先端をカットする。口金を穴にはめ込んで先端を出す。袋の根本の部分をひねり、口金の中にねじ込む。この部分が「栓」となり、中身を入れる時に下から漏れるのを防ぐ。
- 星口金 星、花、波の模様を描くことができる。
- サントノーレ口金 直線、波線を描くことができる。絞り袋を持ち上げず一気に絞り出す。
- 片目口金 直線やギザギザの入った波模様を描くことができる。波模様は、絞った線の上に口金を素早く戻して、次の線を少し重ねるように絞る。
- 丸口金 絞り袋を天板に対して垂直に持ち、円形、ドーム状に絞る。波線を描く時も同様。
- モンブラン口金 細麺状のクリームを、ケーキ表面全体に渦を描くように絞る。
シューの作り方&マカロンの作り方
シュー生地を作る 水、牛乳、バター、塩、グラニュー糖を火にかける。バターが溶けて沸騰したら一度火からおろし、薄力粉を一気に加えて粉が見えなくなるまで木べらで混ぜる。再び火にかけ水分をとばす。すぐにボウルを移し軽く粗熱を取ったら、卵を少しずつ加え、状態のよい生地を作る。
教科書のように細かくレシピが書かれているので、パティシエ志望の方など「美味しくなるコツや本格的な作り方」が気になる方は、ぜひ読んでみてください!?
著者紹介
著 メラニー・デュピュイ
パリで人気の料理教室『アトリエ・デ・サンス』で、ジャン‐バティスト・チボーとともに、お菓子のレッスンを担当する講師。
メラニー・デュピュイ (著) パイ インターナショナル