ご自宅にインタビュー!
北田哲也 きただてつや
プロフィール
神奈川県茅ケ崎生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。以降フリーのイラストレーター&デザイナー。1999年ニューヨークフェスティバル金賞。
フジテレビ 子供向け番組 ポンキッキーズのPちゃんのキャラクターの生みの親。
制作過程について、教えてください。
輪郭線だけアナログです。紙にペンで描いて、着色をMac・Photoshopでやっています。
道具は基本的にこれじゃなきゃ嫌だというのはないです。 鉛筆でもサインペンでもマッキーでも。紙もこだわらないのでコピー用紙でやる時もあります。
「なんでもいいからだっこして!」の絵本の時は、原寸サイズで作りました。イラストレーターなので、絵だけを描く仕事がほとんどでした。絵と文章、両方書いたのは今回が初めてです。
絵本を作るキッカケ・出版の経緯はどのように?
「だっこ」という題材は、以前仕事でハグする絵を描いたことがあって、それが元になっています。そのハグの絵が気に入って何パターンか描いていくうちに、何十ページ分が出来上がっていきました。
なんでも自分で作っちゃうのが、一番簡単だし面白いですね。無料(ただ)ですし(笑)ブリコラージュっていうのでしょうか?要は「手仕事」ですね。それが好きなんですね、たぶん。
今の時代はコンピューターを使ってプリントアウトして、製本テープやホッチキスで綴じれば、簡単に本物の絵本みたいなのが作れます。で、実は10冊ぐらい本にしてある在庫があります(笑)だれか出版して下さい(笑)
元々、デザイナーとして、自分で文字をレイアウトしたり、書体を決めるのが好きなんです。レイアウトや書体はとても重要だと思っています。(雑誌やコマーシャル関係では当然の事ですが、絵本ではまだそれほどシビアーに考えてもらえてないようですが…)。
絵本専門でデザインをやりたいぐらいです。そのくらい書体やレイアウト(それに文字の色)は重要だと思います。
出版のキッカケは?
知り合いの方が紹介してくれた出版社にプリントアウトしたダミー本を3册~4册持っていって見ていただいたら、これにしましょう!とその内の1冊が決まったのです。
出版社(絵本館)としては英断!だったのではないでしょうか。とても感謝しています。
編集者に渡す完成データについて
渡すときはもうレイアウトも出来ている状態です。この絵本は、自分で作ったもの(プリントアウト物)と殆ど変わらないで出版されました。
中のページの順番を少し変えた程度で、レイアウトとか見た目はほとんど同じです。(ページ構成は)編集者に全部お任せしていて、好きに変えちゃってかまいません!って伝えました。
だってボクよりその「絵本の編集者」の方が、絵本に詳しいのはわかりきっているのですから、(レイアウトや色やデザインは、ぼくでも詳しいですが)、だから(ページ構成は)すべてお任せしました。
Pちゃん誕生秘話について
以前から”ひらけ!ポンキッキ”にイラストを提供していました。で ”ひらけ!ポンキッキ” から ”ピーキーズ” にタイトルが変わるから、それに合ったキャラクターを描いてくれ!って,親しかったADの人に頼まれたんです。
ピーキーズになるのか…、じゃぁPの字のキャラかな。 というわけでPちゃんにしたんです。
そしたら、結局 ”ピーキーズ” にならなくて、「ひらけ」をとった ”ポンキッキーズ” になったようですが…。
現在のキャラクターのスタイルはいつから?
僕らが美術大学の頃は、「パンクロック」が全盛の時代でした。既製のものには、すべてNO!と言う(笑)。 そういう中で見つけたのが、コラージュだったんです。色々紆余曲折があったんですが、まっ、コラージュが新しい!と感じたわけです。
コラージュの作り方は、まず白い画面に印刷物をすき間なく貼ります。 そして、自分のイラスト(墨線で描いて、色鉛筆で色塗りした絵)を手でちぎって、それが50枚ぐらい溜まったら、その印刷物をすき間なく貼った上に、貼っていきます。
若い人はご存知ないでしょうが、こういったコラージュから、徐々にキャラクター単体を描くようになったのです。
最初の頃はキャラ単体なんて!とんでもなく俗っぽい!って拒否していました(笑)コラージュ以外は絵じゃない!なんて肩肘はっておりました(笑) 今では、コラージュよりキャラクターの仕事の方が多いです。
フリーになった頃について
フリーになって食べられるようになったのは、30歳ぐらいからですね。それでも僕達の時代は、わりと景気が良かったというのもあるし、イラストレーションが流行ってたってこともあるのでしょう。
今は新人イラストレーターがデビューするのは大変のようですが、当時はイラストレーションが多くの場所で使われる社会状況があったんです。運もよかったんだと思います。
→「なんでもいいからだっこして! 」 著:きただ てつや【感想・あらすじ】