高齢者との価値観の違いとは
読み聞かせを介護老人ホームなどの高齢者に行う時に、空想をテーマとした絵本などで、悩ませてしまう体験がよくありました。
なので、高齢者に読み聞かせする時のポイントを紹介したいと思います。
高齢者が疑問に感じること?
(例えば、クマが二足歩行で、鉛筆を持っているというだけでもなんで立っているのか?なぜ鉛筆を持っているのか?という具合にです。)
今の時代では、あらゆる情報とデザインが世の中に出回っています。しかし、高齢者の時代は何もないところから、新しいものを生産したり構築していく時代だったので。
今の世代と比べると情報過多に陥りやすく、「新しいアイディアや情報」で混乱やパニックを招きやすいのが高齢者の方に見られました。
なので、高齢者の世代に合う話や出来事を理解して接してあげてください。
高齢者の絵本選びのポイント!?
高齢者の年齢や個々の興味によって、絵本の好みは変わってしまいますが年配の方ににみられる大まかな傾向があるので、ジャンル別に紹介しましょう。
声に出したい絵本・歌の絵本
ねんねんよー―子どもにうたってあげるこもりうた ましま せつこ (イラスト) 童話館出版
いっしょにうたって!―たのしいうたの絵本 ましま せつこ (イラスト) こぐま社
祇園精舎 (声にだすことばえほん) 齋藤 孝 (編集), 山本 孝 (イラスト) ほるぷ出版
おっと合点承知之助 (声にだすことばえほん) 斎藤 孝 (著), つちだ のぶこ (イラスト) ほるぷ出版
紙芝居や音のリズムを楽しめる「詩」の朗読系がおすすめです。耳で楽しめるリズム絵本や歌の紙芝居を選書しましょう。百人一首などもおすすめです。
日本の民話、昔話の絵本
とりのみじいさん (日本の民話えほん) 小沢 正 (著) 教育画劇
ももたろう (日本傑作絵本シリーズ) まつい ただし (著), あかば すえきち (イラスト) 福音館書店
かぐやひめ (日本名作おはなし絵本) 舟崎 克彦 (著), 金 斗鉉 (著) 小学館
落語絵本 二 まんじゅうこわい 川端 誠 (著) クレヨンハウス
「桃太郎、かぐや姫、うさぎとかめ」など昔に読んだことのあるお話など。
昔の思い出を振り替える傾向がありますので、民話、昔話、落語の絵本などがおすすめです!
原作に忠実に書かれている絵本などのほうが、高齢者の方にはなじみがあります。しかし、読み聞かせする場合は、難しくなりますので、個人の判断で選んでください。
季節を意識した内容の絵本!
お正月の絵本
・かさじぞう (松谷みよ子むかしむかし) 松谷 みよ子 (著), 黒井 健 (イラスト) 童心社
・十二支のお節料理 川端 誠 (著) BL出版
秋の絵本
・ざぼんじいさんのかきのき (のびのび・えほん) すとう あさえ (著), 織茂 恭子 (イラスト) 岩崎書店
落語絵本
・めぐろのさんま 川端 誠 (著) クレヨンハウス
夏の絵本
・にちよういち (童心社の絵本) 西村 繁男 (著) 童心社
・えんにち (こどものとも絵本) 五十嵐 豊子 (著, イラスト) 福音館書店
春の絵本
・げんきにおよげこいのぼり (行事の由来えほん) 今関 信子 (著), 福田 岩緒 (イラスト) 教育画劇
・はいくのえほん (ひまわりえほんシリーズ) 西本 鶏介 (編集), 清水 耕蔵 (イラスト) 鈴木出版
・ひなまつりにおひなさまをかざるわけ (行事の由来えほん) 瀬尾 七重 (著), 岡本 順 (イラスト) 教育画劇
お相撲の絵本
・漢字せきとりしりとり サトシン (著), 高畠 那生 (イラスト) 文溪堂
・はっきょい どーん (講談社の創作絵本) やまもと ななこ (著) 講談社
・ちびすけどっこい (わらべうたえほんシリーズ) ましま せつこ (イラスト), こばやし えみこ こぐま社
・はっけよいのびんぼうがみ (むかしむかしばなし) 松谷 みよ子 (著), 長野 ヒデ子 (イラスト) フレーベル館
それと会話する時に、世代別に流行した出来事を聞いてみるのも、逆に新鮮で面白いですよ!!そこで、高齢者の好みの傾向を聞いといて、それにあった絵本を選書するのもポイント。
読み聞かせする時のしゃべり方
ハッキリと大きな声でしゃべること。なるべく明るい声を意識しましょう。耳が遠い人や、目の不自由な人もいますが、気にせずに話しかけてあげてください。
目の不自由な人には、イメージが浮かびやすいような言葉で話しかけてあげましょう。耳の遠い方には、ゆっくり大きな声で、近寄って話しかけてあげてくださいね。
例えば。料理などのお話をする時に、寸胴の鍋で「コトコト」煮込んで、「アツアツ」のカレーライスができました。それを白くて大きなお皿に、かけました。
おかっぱ頭の〇〇ちゃんは、うれしくて、その場で「ピョンピョン」と跳ね上がりながら喜びました。
擬音や状況を説明する言葉を添えるとグッと伝わりやすくなります。ぜひ、活用してください!?
世代別に流行したもの・出来事
80~90代の世代(1925年~1935年に生まれた方)
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1955年
→電気冷蔵庫、電気洗濯機、テレビジョン。「三種の神器」日本で初めて電気炊飯釜(東芝)が販売される。
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1956年
→ホームランバー(協同乳業)日本で初めてのアイスクリームバーが販売される。
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1957年
→コカ・コーラの製造が開始される。ホッピング(玩具) 。
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1958年12月23日
→東京タワーが完成した。
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1958年
→日清チキンラーメンが販売される。
60~70代の世代(1945年~1955年に生まれた方)
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1970年
→日本万国博覧会(大阪万博)が開催。
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1971年
→マクドナルドの日本1号店が銀座に開店する。カップヌードルが発売される。ボウリングブーム。
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1972年10月28日
→中国から日本にプレゼントされたパンダ。雄がカンカンで雌がランラン。
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1974年
→コンビニエンスストア第1号店「セブン-イレブン」が開店する。
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1975年
→「およげ!たいやきくん」が発表された童謡。
介護老人ホームの読み聞かせする時のポイント!
- 認知症の方などは内容が複雑だと、内容が理解できなくてパニックを起こす場合があるので、分かりやすくシンプルな内容の絵本がおすすめです。
- 手で触れる感覚など、認知症予防になるという研究結果が報告されています。お手玉・トランプ・麻雀・あやとりなど。
- 年配の人は難聴の方が多いので、大きな声でゆっくり読んであげることを意識して読んであげてみてください。
- 目の悪い方も多いので、大きな絵でハッキリな色合いで表現されている絵本を選んであげてください。
- 目の悪い方でも見えるように、一人一人のそばまで寄って行ってあげるのが、ポイントです!言葉の少ない絵本のほうが、伝わりやすいかもしれません。
▼高齢者の方は体の免疫が弱い
菌などの感染予防のためにアルコール消毒をすることが、老人ホームでは勧められています。
絵本を直に触れて、読んでもらう時や使っていた絵本をプレゼントする時はアルコール消毒などをすることをお勧めします。
感想・個人的に思ったこと
最後に、いろいろな制限があって何もできないんじゃないかと思うかもしれません。
だけど、高齢者の方の目線で物事を考えてあげることを学ぶことができるので、自分がやれるほんの小さなことから、始めてみてください。
高齢者の方から教わったのは、諦めることや自分の執着を手放すことを学べた気がしました。気軽にやって、「伝えたいことが伝わらないこと」もあることを最初に学んでみてください。
少しづつ自分のやっていることが伝わり始めれば、ありがたいと思えるので。ぜひ、興味ある方はやってみてください。
こんなこと、やってみたら?&緊張したときのこと
童謡を歌うのが老人ホームでは人気が高いです。そこで、アイドル気分で歌ってみてはどうでしょうか?
童謡カラオケ~など!いろんなイベントを、考えてみてください。
お年寄りの前で、読み聞かせる時によくあるのが。噛んでしまう。だけど、高齢者の方は、優しいので。見守ってくれます。
やっぱり、人前だと緊張するんですよね~。こんな感じで、ガチガチになってしまうこともありました。
この記事で、福祉の学校で勉強している方、老人介護施設で働いている方のお役に立てれば嬉しいです。
→介護のレクリエーションにおすすめの一冊!? 「東京1950年代 長野重一 写真集」