民話絵本
プラ国では食べものといえば、羊やヤクの乳と肉ばかり。「アチョ王子」は、おいしい食べもののできる穀物のタネをもとめて旅にでます。
試練を乗りこえていく王子の勇気と「ゴマン」の愛の物語。
チベットの精神が込められている
チベット人の主食ツァンパの原料となる大切な大麦の来歴を語るストーリーになっています。
三姉妹が果実を投げて夫を選ぶシーンは、中国の最古の詩集「詩経」にも書かれている風習です。
現代でも残る風習
今でも、広西のチワン族や雲南省タイ族の水かけ祭りなどには、娘たちが手作りした鞠(まり)のようなものを好きな男性に投げる風習が残っているそうです。
物語では、山の神のところへ行くには九十九の山、九十九の川をわたらないといけません。「アチョ王子」が国民のために大麦の種を取りに行く勇気は。
今でも、チベットの人の心の中に根付いている大切な精神なのかもしれないと感銘を受けました。
美女と犬
ほら穴から逃げようとした時、蛇王が「アチョ王子」を犬の姿に変えてしまいます。その姿がとても、かわいい犬なんです。
(かわいそうなことなんだけど)それから山の神のアドバイス通りに、東に向かうことになります。
そこで、末娘の「ゴマン」と出会うのですが、まるで美女と犬と言いたくなるシーンです。
(私だったら、気付かずにそのまま飼ってしまうかもしれないと思いました。)
緻密で贅沢な日本画絵本
この絵本は日本画で構成されていて、とても緻密に描かれているのに驚かされました。(本物の人間の髪の毛のように、一本一本まで細かく描かれています)
それと色合いがとてもやさしく、包まれるような優しい色彩が見ていて癒されました。
昔の日本画などでは、神話のある出来事のワンシーンのみを描く絵が多いですが。
▼材料のこだわり
この絵本ではたっぷりと物語分のページを描き切ってくれているので、とても見応えのある絵本になっています。
(作画で、高価な金泥(きんでい、純金の粉)を使用しているので、本当に贅沢な絵本です。)
→日本画家・絵本画家 後藤仁さんロングインタビュー!!【前編】
→日本画家・絵本画家 後藤仁さんロングインタビュー!!【後編】
著者紹介
日本画家・絵本画家 後藤仁
後藤 仁(GOTO JIN)のアトリエ
後藤 仁(GOTO JIN)の制作・旅日誌
後藤 仁(GOTO JIN)の絵本便り
http://ameblo.jp/gotojinjapan/
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